PMS(月経前症候群)とは?症状・原因・病院の選び方(婦人科と心療内科の違い)

ベトリッジ クリス

ベトリッジ クリス 先生

精神科

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生理が近づくと、些細なことでイライラしたり、気分が沈んだり、からだが重く感じたりして、「これって私だけ?」と不安になっていませんか?

月経の前に心やからだの不調が出るPMS(月経前症候群)は、月経のある女性の約70〜80%が何らかの形で自覚しているとされ、決して珍しいものではありません。
つらさを「自分のせい」と責めてしまう方も少なくありませんが、からだの仕組みが関わっている可能性があります。
一方で、症状が強く日常生活に支障が出る場合には、医療機関で相談できる状態でもあります。

この記事では、PMSについて初めて調べる方に向けて、症状や原因、PMDDとの違い、病院に行く目安、婦人科と心療内科・精神科の選び方、診断書についてやさしく解説します。一人で抱え込まず、まずは「知ること」から始めてみましょう。

この記事のポイント

  • PMSは、月経の3〜10日前から心やからだの不調が現れ、月経が始まると軽くなる状態のことです。
  • 日本人女性の70〜80%が何らかの不調を自覚しているとされ、決して珍しいものではありません。
  • 気持ちの症状が特に強く、生活に大きな支障が出る状態はPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれ、DSM-5に診断基準があります。
  • 仕事・学校・家事・人間関係などに支障が出ているときが、受診を考える目安です。
  • 相談先は、からだの症状が中心なら婦人科、気持ちの症状が強いなら心療内科・精神科が選択肢になります。
  • 治療の副作用は、体質・年齢・持病などによって現れる場合があります。保険適用や費用もあわせて、受診時に医師へ確認しましょう。

PMS(月経前症候群)とは?

PMSの概要

PMS(月経前症候群)とは、月経の3〜10日前から現れる身体的・精神的な不調で、月経が始まると軽くなったり消えたりするものを指します。

日本産科婦人科学会によると、日本人女性の約70~80%が月経前に何らかの不調を自覚しており、そのうち約5%は日常生活に支障が出るほど症状が重いとされています。特に思春期の女性で多いといわれています。

(参考:公益社団法人 日本産科婦人科学会)

特に気持ちの面の不調は、周囲からも本人からも「気の持ちよう」と受け止められやすく、つらさを一人で抱え込んでしまうことがあります。しかし、PMSはからだの変化が関わる、医療機関に相談できる状態です。我慢し続ける必要はありません。

PMSの主な症状

症状の種類や強さには個人差があり、月ごとに変わることもあります。代表的なものは次のとおりです。

身体的な症状

  • 頭痛、肩こり
  • 乳房の張りや痛み
  • 下腹部の痛み
  • 強い眠気やだるさ(倦怠感) など

精神的な症状

  • イライラして怒りっぽくなる
  • 情緒不安定(急に悲しくなる、涙もろくなるなど)
  • 気分の落ち込み(抑うつ)
  • 理由のはっきりしない不安感
  • 集中力の低下 など

PMSの原因

PMSが起こる明確な原因は、現在のところ完全には解明されていません。
しかし、月経周期にともなう体の変化が関わっていると考えられており、次のような要因が挙げられています。

  • 女性ホルモンの変動:排卵後、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増え、月経前に向けて急激に低下します。PMSの症状は、この排卵後から月経前の時期に繰り返し現れ、月経が始まると軽くなります。このため、ホルモンの周期的な変動が関わっていると考えられています。
  • 脳内の神経伝達物質への影響:ホルモンの変動が、気分や感情に関わるセロトニンや、神経の興奮をしずめるGABAなど、脳内の神経伝達物質のバランスに影響すると考えられています。イライラや落ち込みなどの精神的な症状には、こうした変化が関係している可能性があります。
  • ストレスや体質: ストレスや遺伝的な体質も、発症に影響する可能性があるとされています。

ただし、これらの仕組みの全体像はまだ明らかになっておらず、複数の要因が重なって症状が現れると考えられています。つまり、症状は「気持ちの弱さ」ではなく、からだの仕組みが関わっている可能性があります。

PMDD(月経前不快気分障害)とPMSの違い

PMDD(月経前不快気分障害)とは、月経前に気分の波・強いイライラ・落ち込み・不安といった「気持ちの症状」が中心となって現れ、仕事や学校、人間関係に大きな支障が出る状態を指します。米国精神医学会の診断基準「DSM-5」では、うつ病などと同じ「抑うつ障害群」の一つとして位置づけられています。

PMDDでみられる症状の例

DSM-5では、月経前の最終週に複数の症状(合計5つ以上)が現れ、そのうち次のような「気持ちの症状」が少なくとも1つ含まれることが基準の一つとされています。

  • 気分の大きな波(急に悲しくなる、涙もろくなる、など)
  • 強いイライラや怒り、対人トラブルの増加
  • 強い落ち込み、絶望感、自分を責める気持ち
  • 強い不安や緊張、落ち着かない感じ

ほかにも、興味の低下、集中しづらさ、強いだるさ、食欲や睡眠の変化、乳房の張りなどの身体症状といった症状が、あわせてみられることがあります。

診断では、症状の数に加えて、症状が出る時期、生活への支障の程度、うつ病などほかの病気や薬の影響ではないかなどを確認します。
その他にも、一定期間の症状の記録等も参考にしながら、医師が総合的に判断します。

PMSとPMDDの違い(比較表)

項目 PMS(月経前症候群) PMDD(月経前不快気分障害)
主な症状 心とからだの両方に、さまざまな症状が現れる 気持ちの症状(気分の波・イライラ・落ち込み・不安)が中心で、必ず含まれる
現れる時期 月経の3〜10日前から、月経開始とともに軽くなる 月経開始前の最終週に現れ、月経後の1週間はほとんどなくなる
生活への影響 軽いものから、日常生活に支障が出るものまでさまざま 強い苦痛や、仕事・学校・人間関係への大きな支障がある
診断の考え方 症状と月経周期との関係を、医師が診察して判断する DSM-5などの診断基準にもとづき、医師が判断する

ここで紹介した症状や基準は一部の例で、当てはまる数だけでPMDDかどうかを判断することはできません。うつ病や不安症など、ほかの状態が隠れている場合もあります。気になるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。
(参考:American Psychiatric Association『DSM-5』『DSM-5-TR』)

PMSで病院に行く目安は?

目安は「症状によって日常生活に支障が出ているかどうか」です。次のような状況があれば、受診を考えるタイミングです。

  • 仕事や学校を休んでしまう、行くのがつらい
  • 家事など、普段どおりの生活が難しい
  • 家族・パートナー・友人との関係に影響が出ている

特に、強い落ち込みや不安、つらい身体症状が続く場合は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。

注意:月経が始まっても気分の落ち込みや不安が続く場合は、PMSではなく、うつ病や不安障害など別の状態が関わっている可能性もあります。その場合も、なるべく早く医療機関にご相談ください。

婦人科と心療内科・精神科、PMSの治療の違い

婦人科と心療内科・精神科の治療の違い

PMSの相談先は、主に「婦人科」と「心療内科・精神科」です。診る視点や治療の進め方が少し異なります。

婦人科での治療が適しているケースと主な治療法

からだの症状(腹痛・頭痛・乳房の張りなど)が強く出ている場合や、月経痛(月経困難症)をともなう場合、月経周期の乱れがある場合は、まず婦人科の受診が目安です。

婦人科では、ホルモンバランスや月経周期の視点から診察し、必要に応じて超音波検査や血液検査で、子宮内膜症など、ほかの婦人科の病気が隠れていないかも確認します。

【主な治療法】

  • 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP):排卵を抑えて女性ホルモンの変動を少なくすることで、症状の軽減を目指します。症状に応じて検討されます。
  • 漢方薬:体質や症状に合わせて処方されます。効果を確かめた研究は、まだ限られているとされています。
  • 鎮痛薬・利尿薬:頭痛や下腹部痛、むくみなどの症状に対して、必要に応じて処方されます。
  • 生活習慣のアドバイス:症状の記録をつける、リラックスする時間をつくる、食事を見直すなど、日常生活での工夫が提案されます。

心療内科・精神科での治療が適しているケースと主な治療法

PMDDのように、強い落ち込み・激しいイライラ・不安といった気持ちの症状が前面に出ている場合は、心療内科・精神科の受診が目安です。

心療内科・精神科(メンタルクリニック)では、落ち込み、不安、イライラ、意欲の低下といった心の症状を中心にお話をうかがい、うつ病など、ほかの状態が隠れていないかも確認しながら、治療方針を考えます。

【主な治療法】

  • 抗うつ薬(SSRIなど):脳内のセロトニンに働きかけ、気分の落ち込みや不安をやわらげることが期待されます。症状が中等度から重い場合の第一選択とされ、月経前の時期だけ服用する方法と、継続して服用する方法があります。
  • 抗不安薬:強い不安や緊張が目立つときに、必要最小限の範囲で使われることがあります。
  • 漢方薬:体質や症状に合わせて、用いられることもあります。
  • 認知行動療法・カウンセリング:物事の受け止め方やストレスへの対処を一緒に整理していきます。国内で認知行動療法を実施できる医療機関は限られています。

治療を受ける前に

どの治療にも副作用が起こる可能性があり、体質・年齢・持病などによって、副作用が現れる場合があります。また、保険が使えるかどうかや費用は、診断や処方内容によって異なります。自分に合った治療は人それぞれですので、自己判断で薬を始めたり、やめたりせず、必ず医師にご相談ください。

PMSは婦人科と心療内科、どちらに行けばいい?

からだの症状(下腹部痛・頭痛など)が中心なら婦人科、気持ちの症状(強い落ち込み・不安・イライラなど)が中心なら心療内科・精神科が相談先の目安です。

一般的には、まず婦人科で、月経周期やホルモンの面から状態を確認することが多く、婦人科でも症状に応じてSSRIなどによる治療が行われることがあります。一方で、気持ちの症状が強く出ている場合(PMDDが心配な場合を含む)は、心療内科・精神科への相談も選択肢になります。

特に、強い不安・落ち込みなどが続いているときは、心療内科・精神科に早めにご相談ください。

PMSで診断書はもらえる?

症状が重く、休養や療養が必要と医師が判断した場合には、診断書が発行されることがあります。

婦人科では婦人科的な診断に、心療内科・精神科では精神面の診断に基づいて、医師の判断のうえで、発行・作成されます。
また、診断書の発行は自費となるのが一般的です。

診断書の発行の流れや料金は、以下の記事で詳しく解説しています。

心療内科・精神科の診断書とは?もらい方、うつ病での休職事例も紹介 – ウィーミート

まとめ

  • PMSは、月経の3〜10日前から現れる心やからだの不調で、月経が始まると軽くなるのが特徴です。
  • 日常生活に支障が出ていれば、受診を考えるタイミングです。
  • からだの症状が中心なら婦人科、気持ちの症状が強いなら心療内科・精神科が相談先の目安です。
  • 治療の副作用や保険適用・費用は、体質や年齢、持病、診断や処方内容によって異なります。自己判断せず、医師にご相談ください。

毎月くり返すつらさを「気の持ちよう」と一人で抱え込む必要はありません。気になる症状があれば、まずはWeMeetへお気軽にご相談ください。

参考文献

診療(ビデオ通話)、お薬の服薬指導と受取が
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記事監修医師プロフィール

  • ベトリッジ クリス

    ベトリッジ クリス 医師

    精神科