失笑恐怖症とは?考えられる原因・疾患や対処法を解説 ウィーミート院長ベトリッジ クリス先生精神科医 更新日 2025/05/23 本記事では、笑ってはいけない場面で笑ってしまう「失笑恐怖症」の症状や原因、対処法を解説します。その後、社交不安障害・限局性恐怖症との関連性や、薬物療法・認知行動療法などの治療法、オンライン診療の活用方法もご紹介します。 目次失笑恐怖症とは失笑恐怖症の症状失笑恐怖症の原因・考えられる疾患失笑恐怖症の対処法失笑恐怖症の治療失笑恐怖症のオンライン診療オンライン診療について 失笑恐怖症とは 失笑恐怖症とは、笑ってはいけない場面で自分の意思とは関係なく笑ってしまう症状や、その症状に対する恐怖、あるいは恐怖を避けるための回避行動によって生活に支障が生じている状態を指します。 ただし、失笑恐怖症はDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)やICD-11(国際疾病分類)に診断名として掲載されておらず、正式な医学的診断名ではありません。 失笑恐怖症の症状 笑ってはいけない場面で自分の意思とは関係なく笑ってしまう 何もおかしくないのに笑ってしまう 我慢すると余計に笑いが止まらない 笑ってはいけない場面で笑うことを予期して不安になる 笑ってはいけない場面で笑う自分が、周囲からどう思われるか不安になる 笑ってはいけない場面を避ける 失笑恐怖症の原因・考えられる疾患 笑ってはいけない場面で笑ってしまう原因ははっきりとわかっていません。しかし、次のような疾患や原因が考えられています。 社交不安障害 社交不安障害(社交恐怖)は不安障害の一種で、人から注目される状況において過度の恐怖や不安を感じる精神疾患です。 社交不安障害で生じた強い不安や恐怖が、代償行為や回避行動としての笑いにつながり、失笑恐怖症として出現する可能性が指摘されています 社交不安障害について 限局性恐怖症 限局性恐怖症は不安障害の一つで、特定の対象や状況に対して強い恐怖を感じる疾患の総称です。 社交不安障害では根本的に「人からの注目」が不安の原因となりますが、「笑ってはいけない状況」自体への恐怖心がある場合は限局性恐怖症の可能性が考えられます。 社交不安障害と同様に、代償行為や回避行動として笑いが生じるといえます。 限局性恐怖症について 身体的疾患 脳や神経系の異常がある場合(視床下部過誤腫など)、自分の意思とは関係なく笑ってしまうことがあります(笑い発作)。なお、この場合は失笑恐怖症とは呼ばれません。 失笑恐怖症の対処法 周囲に事前に伝える 周囲に事前に伝えることが最も効果的な対処法です。もちろん言い出すことが不安な場合もありますが、緊張すると無意識に笑ってしまう傾向があることを可能な限り説明し、悪意がないことを理解してもらいましょう。 できる限りの準備や対処を行う 会議や面談では事前に伝えることはできますが、例えばお葬式など、多くの人がいる場では難しいことがあります。 その場合は実践的な対策として、マスクの着用やハンカチの準備が役立ちます。笑いが止まらない場合は一時的に席を外したり、咳に見せかけて紛らわせたりする方法も有効です。 失笑恐怖症は治療を受けるべき?病院に行く基準 上に紹介した症状が見られ、日常生活に支障をきたしている場合には医療機関を受診してみましょう。特に次の場合は注意が必要です。 恐怖から精神的症状・身体的症状が生じている 回避行動が見られる(引きこもり) 人間関係の悪化などにつながっている 失笑恐怖症は放置すると悪化したりその他の精神疾患の原因になったりする可能性が高くなると言われており、早期受診が重要です。 脳神経の異常が考えられる場合には脳神経内科を受診することもありますが、自分での判断が難しい場合はまず心療内科や精神科の初診を受けることが一般的です。 心療内科・精神科の初診について【流れ・話すこと・聞かれることを解説】 失笑恐怖症の治療 薬物療法 原因として社交不安障害が考えられる場合は、抗うつ剤や抗不安薬の処方がある場合があります。 抗うつ剤 抗うつ剤は、脳内の神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミン)を増加・調節するお薬で、抑うつ気分、意欲低下、興味の喪失などの改善に効果があります。 SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)・SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)・NaSSA(ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動薬)・三環系・四環系などの種類があり、症状に応じて処方が決まります。 抗うつ剤は抗不安薬などに比べると副作用が非常に弱いことが特徴です。耐性・依存性の問題も低いため、うつ病だけでなく不安に関する様々な精神疾患の治療に使われています。 ただし、薬物療法は根本的な治療ではありません。精神療法(非薬物療法)と組み合わせて、症状の軽減やコントロール、悪循環の解消の目的で用いられます。 抗不安薬(精神安定剤) 抗不安薬(精神安定剤)は、不安や緊張を和らげるお薬です。催眠、筋弛緩などの作用も持ち、震えなどの身体的症状にも効果があります。また、作用時間によって短時間型〜超長時間型の分類があります。これらの作用の種類・時間・強さによって適切なお薬が処方されます。 ただし、抗不安薬は依存性が高く耐性がつきやすいため、他のお薬や非薬物療法とともに一時的に症状を和らげる目的で使われる傾向にあります。 笑ってしまうことへの不安が大きい場合、一時的に処方される可能性があります。 非薬物療法 認知行動療法(CBT)とは、認知(物事の考え方や受け取り方)の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療するための方法です。 例えば社交不安障害の治療では、不安の原因となっている「失敗したらみんなに笑われるんじゃないか」などの認知を、より現実的な考えや判断ができるように修正していくことが挙げられます。 他にも、曝露療法が有効な場合があります。医師や心理士が患者さんに対して、笑ってはいけない状況に自分が身を置いている様子を想像するように指示し、徐々に慣れていく療法です。 失笑恐怖症のオンライン診療 失笑恐怖症はオンライン診療で治療が一部可能です。WeMeetでも症状に対応しています。 ただし、オフラインでの曝露療法が必要な場合、身体的な原因が疑われてCT撮影など検査が必要な場合は対面診療がおすすめされることがあります。 特に次のような方にとって選択肢の一つとなります。 ・病院でうまく話せるか不安な方・通院時間や予約を取るのが難しい方・周囲の人に通院を知られたくない方・回避行動で外出するのが怖い方・対面診療で笑ってしまうことが怖い方(入口として) オンライン診療では基本的に保険適用で薬物療法・非薬物療法両方での治療が可能です。詳細はクリニックに確認しましょう。 ※ オンライン診療では初診から麻薬や向精神薬(抗不安薬・抗うつ剤・睡眠薬の一部など)を処方することはできません。 ※ 次の場合は対面診療をお勧めする場合があります。 ・自傷・他害のおそれが強くある場合・身体疾患が強く出ている場合・重度の症状の場合 オンライン診療について オンライン診療とは? スマートフォンやタブレット、パソコンなどを使って、自宅等にいながら医師の診察や薬の処方を受けることができる診療です(厚生労働省)。 オンラインだと診療の質が落ちるのでは? 実は、約9割の医師が、オンライン診療を取り入れることによって、患者に提供する医療全体の質は「良くなる」「どちらかといえば良くなる」「変わらない」と回答しています。 株式会社メドレー「オンライン診療の実態調査」より オンライン診療ならWeMeetがおすすめ! WeMeetの特徴 ① えらべる診療医師によるオンライン/対面診療の他、心理士によるオンラインカウンセリングがございます。体調や状況に合わせて選択していただけます。 ② ムリなく継続1分で簡単にWEB予約ができるので、24時間いつでもご予約・日程変更が可能です。お財布にやさしい保険診療で、無理なく継続できます。 WeMeetでのオンライン診療の流れ WeMeetでのオンライン診療の流れをご説明します。 日程を選びネットで予約 問診票の記入 医師によるオンライン診療 クレジットカードで簡単決済 お薬の受け取り(最短翌日) \アプリDL不要・1分で予約/ ウィーミートで保険診療を予約する 本記事のまとめ 失笑恐怖症は、笑ってはいけない場面で自分の意思に反して笑ってしまう状態を指します。正式な診断名ではありませんが、社交不安障害や限局性恐怖症の一症状として現れることが多く、日常生活や対人関係に支障をきたすことがあります。 対処法としては、可能な範囲で事前に周囲に伝えておくことや、マスクの着用、一時退席などの工夫が挙げられます。症状が生活に支障をきたす場合は、抗うつ剤や抗不安薬による薬物療法、認知行動療法や曝露療法などの精神療法による治療を検討しましょう。 自分に合った対処法や治療法を見つけることで、失笑恐怖症の症状は改善することが可能です。症状でお悩みの方は、ぜひ医師への相談を検討してみてください。本記事が少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。 アプリのDL不要 1分で予約 夜間診察あり 診療(ビデオ通話)、お薬の服薬指導と受取が お財布に優しい保険診療で受けられます。LINE登録はこちら ウィーミート院長ベトリッジ クリス先生精神科医 心療内科・精神科のコラム